地獄の撮影現場!?「燃えよデブゴン/TOKYO MISSION」撮影秘話を谷垣健治と大内貴仁が語る!

―――谷垣さんから大事なお知らせがあるということなんですが……。

 

谷垣:え~……「燃えよデブゴン/TOKYO MISSION」が、2021年1月1日公開なります!!元旦映画です!!

 

―――この「燃えよデブゴン」は香港映画にも関わらず、谷垣さんが監督、大内さんがアクション監督をされたということで……そして主演がドニー・イェン!!何か色々凄いです(笑)!

 

下村:で、僕はね、“勇二”っていう名前で出てるんです。

 

―――……えっ!?

 

谷垣:映画の中に“勇二”という役があって、“自主映画出身のAV監督で、築地に忍び込んで『築地マーメイド』っていう自主映画を撮ってる”っていう設定なんですよ(笑)。漢字もそのまんま!

 

大内:あの“勇二”はやっぱり下村さんから取ってたんですね!

 

下村:僕の名前を貸したっていうね(笑)。昔、自主映画やってたから、そのイメージで勝手に使われたみたい。大変光栄です(笑)。

 

―――しかも、日本公開版を試写でご覧になったのは下村さんだけだという、奇妙な話を聞きましたが(苦笑)。

 

大内:僕、見てない……。

 

谷垣:オレも試写呼ばれてないし(苦笑)!

 

大内:Twitterでまこっちゃん(アクション監督でもある坂口拓氏の弟子・坂口茉琴)が試写で観たって書いてて、「アクションチームのオレたちが招かれてないっ!!」って谷垣さんに嫌味言おうと思ってたのに(笑)。

 

谷垣:日本版は字幕チェックの為に昨日やっとDVDで観た!だから、劇場で観てるのは彼(下村)だけやね(笑)。

 

―――では、純観客としてご覧になった「燃えよデブゴン TOKYO MISSION」率直な感想をお聞かせ下さい!

 

下村:素直に面白かった!!!……それと、羨ましかったですね。「燃えよデブゴン」には、80年代の香港映画のテイストが存分に詰まってるんです。単純明快なハチャメチャアクションコメディ!これは難しいところなのですが、そのテイストを観る側が受け付けるか、受け付けないかで映画に対する感じ方が変わってくるかも知れないです。僕なんかは昔から香港映画大好きなので、“何でもアリの香港映画!”だった、あの時代のノリにワクワクしました。

 

谷垣:闇鍋ね(笑)!現場から闇鍋状態やった!!

 

全員:(笑)!

 

下村:ドニー・イェンが主演であっても、今迄みたいな“クールで格好いいドニー”ではなく、“激太りしたドニー・イェン”で、その上コメディテイストが強い。洗練された派手なアクションの中に、ドニーのコミカルな芝居が入る事で、老若男女楽しめるエンターテイメント映画に仕上がっている。まさに正月映画に相応しく、とにかく楽しめる!ブレない、一本筋の通ったストーリーの柱がコメディ映画をしっかり成立させている。

正直、羨ましかったんですよ(笑)。「僕もこんな作品を一生に一度作ってみたい!」って。実はね、撮影現場もちょっとだけお邪魔したんですけど、映画の出来上がりの楽しさとは裏腹に、現場は「地獄だな」って思いましたよ(苦笑)。

 

大内:ハハハ……(苦笑)。

 

―――壮絶な現場だったという噂だけは、私の耳にも届いております(苦笑)。下村さんが目撃した時は、何が原因で大変そうでしたか?

 

下村:それはもう……「ドニー様」でしょう(笑)!!

アクション監督の大内がアクションシーンの準備してたらドニーが来て「全部違う!」って一瞬で全てをひっくり返されていたから(苦笑)、これが毎日毎日続いていたら、そりゃ大変だな~って。

 

ラブコメにもフェアリーテイルにも成り得た「燃えよデブゴン」

谷垣:「燃えよデブゴン」はオリジナルストーリーなんですが、それゆえにドニーの中で日々ジャンルが変わるんですよ。つまりね、ドニーがいきなりね「この映画はロマンティック・ラブコメディーにするべきだ!」って言い出したりするわけですよ(苦笑)。彼女とドニーが喧嘩してたのに突然表参道のイルミネーションをバックに二人が踊りだしたりするようなシーンが必要だと言い出して……絶対、前の晩に『LA LA LAND』観たやろ!って(笑)!

そうやって毎日彼の中でジャンルが変化してて、「童話にするべきだ」って言ってたこともあったなあ(遠い目)。

 

―――日々、その難題をどうやって乗り越えたのでしょうか……??

 

谷垣:脚本を変えるんです、その都度。変わらなかったら編集で。もしくはアフレコで全員変えるんですよ(笑)。

大内:築地のアクションシーンに「マグロで滑る」っていうアクションを作って、Vコン(ビデオコンテ)でドニーに見せたら、「俺がマグロで滑るわけないだろうが!!」ってめちゃくちゃ怒られて(苦笑)そのアクション全部バラした(全て無くすこと)んですよ、アクションで使う予定だったマグロの製作も全て。で、実際そのシーンを撮影していたら、ドニーが「TAKA、マグロは何カット後だ?」って訊きに来て(笑)!「いやいや、あなたが要らないって言ったから全部バラしましたよ!」って言ったら、凄い寂しそうな顔して去って行ったんですよ(苦笑)。ああいった姿は、本当に憎めないところなんですよね~。

そういう姿と、カメラ前に立つと急に格好いいことするっていうギャップがね!!

 

谷垣:バックキックひとつで空気を変えるからな~。

 

大内:そうなんですよ!

築地のバックキックもかっこよかった!オープニングのワゴンに乗り込んで構えるっていうカットを撮ってるときも、何テイク目かに「これはOKかな」って思ってたら、ドニー自ら「もう一回やる!」っていって…次のテイクで全く違う動きをしたんです。胸の前で腕を高速回転させるあの動きです!!

着地して構えるだけの動きをドニー色にする。こういうことが瞬時にだせるアクション俳優だからこそ、この人は世界で戦えてるんだろうなって。誰もできないことをやるんじゃなくて、誰もができることをまったく別物にする。「ドニーやっぱり凄いなぁ」ってなるから、色々あっても「しゃーないかな」って思えるんです(笑)。

 

谷垣:本当にね、「燃えよデブゴン」は想定外のことばっかり起きる現場でしたよ……この映画は本当に乗り切れる気が今までで一番しなかった(苦笑)!!

観る人によって当然好き嫌いはあるだろうけど、それよりもまず、ちゃんと映画として成立して完成したことに我ながら驚きです(笑)。奇跡。

 

―――今作はオリジナル脚本ということですが、これは谷垣さんが監督として撮りたかった作品を実現出来たと捉えて良いのでしょうか?

 

谷垣:もともとCMのために出来たキャラクターだったんだけど、それを「イップ・マン」シリーズのウィルソン・イップ監督が「映画にできる」とドニーに言うわけですよ。無責任に(笑)。それでドニーが、「企画書け」って。「太ったヤツが少林寺に行って悪いヤツ仕留めるとか、東京に行って悪いヤツ仕留めるとか!」って(笑)。

確かにキャッチーじゃないですか、あのドニー・イェンが太って、東京で悪いヤクザたちを倒す!って(笑)。そしたら製作途中でドニーがこう言い出したんですよ、「ひとつアイデアあるんだけど……オレが太らないってどうだ!?」って(笑)!きっと、特殊メイクが大変だと言うことにこの時点で気づいたんですね。

 

全員:(爆笑)!!

 

谷垣:企画の根本から覆すようなことをね、“オレ、今から凄いアイデア言うぞ!!”って雰囲気で言い出すからね(笑)、ビックリしますよ!

 

ハングリーな天才

数多くのドニー・イェン作品に彼の右腕として、スタントとして参加してきた谷垣健治と大内貴仁。スタントマン時代、谷垣をきっかけにドニー作品に参加した下村もまた、機会を見付けては海を渡り、ドニー組に参加している。

日本国内に居ても十分過ぎる程多忙なのに、「想定外のことしか起きない」という壮絶なドニー・イェン組に、わざわざ海を渡り参加し続ける理由は何なのか。

ドニーの背中に何を見ているのか。

 

―――一番近くでドニー・イェンと仕事をしてきた三人だからこそ分かる、ドニーの最大の魅力って何なのでしょうか?

 

谷垣:魅力……何なんでしょうね(苦笑)!?

 

下村:それは、ドニーと一番付き合いの長い健治さんがよく知ってると思います。

一緒に仕事したことがある人はみんな、ドニーに対して「ふざけんなっ!!」って

心の中で叫んだことあると思うんですよ (笑)。

大内:僕も、投げ飛ばそうかなって思ったことあります、あります(笑)!

 

下村:……でも憎めないんです(苦笑)、どうしても。

それはドニーが圧倒的に結果を出すからです。スクリーンにその全ての答えを出してるんですよね。僕自身は、健治さんや大内ほどドニーの現場に出た経験があるわけではないのですが、やっぱり現場は辛いんです。でも出来上がったものが“今までに見たことが無いもの”になっていて、常にバージョンアップされていくんです。それは参加していて誇りに感じますよね。

ジャッキー・チェンは未だにアクションスターではあるんですが、ジャッキーのスタイル自体は少し時代の最先端からは遅れているかも知れない。でも、それは“ジャッキースタイル”が完全に確立されているからそれで良いと思うんです。それで成立しているし、お客さんが求めるものでもあるから。

でもドニーの場合は違う。ドニーにはドニースタイルがベースでありながらも、常に新しく進化していくんですよ。そこは魅力ですよね!

 

谷垣:飽きっぽいからね。ドニーは自分が確立したものですら壊したくなる。

 

大内:だから、毎回新しいアクションに飢えてイライラしてるのかなって思いますね。“ハングリー”なんですよ、常に。あの立場で、まだハングリーさがある。

自分も公園とかでカメラ回して「どう撮ったら格好良くなるのかな~」って、全然分からないながらもアングル研究とかしてたんですよ。その人の蹴り方ひとつで、アングルも撮り方も変わるし。でもその昔はなぜか、“バックキックを撮るならカメラ位置はココ”みたいなアクションアングルの決まりごとみたいなのもあったと思うんです。

 

そんな時に「導火線 -FLASH POINT-」にスタントマンとして参加して凄く覚えてるのは、ドニーが僕にスタンドインをさせて「アングルはここ!!」って言い切ったあとに「いや、違うあっちだ!」って“いわゆる決まり”とは逆にレールを引いて撮ったりする。それを何回も繰り返して…「これなら僕もアクション監督できるんちゃうか!?」って思うこともありましたよ(苦笑)。つまり何が言いたいかというと、ドニーって天才なんだけど、天才じゃないように見えたんです。ドニーは決まり事なんて作らずに、“ただ面白い画を撮る”ことに執着して、とにかく試せることは全てやってみる。

下村:確かに、スタントダブルを使っているのに正面から撮ったり(笑)。“この動きは、このアングルが一番見栄えがする”って決めるんじゃなくて、ありとあらゆるアングルで試すんだよね。

 

谷垣:その撮影条件を勝ち取ったことが凄いよね。

 

下村・大内:そうなんですよ!!!

 

大内:それに加えて、“自分の求める正解はどこかにある”っていうことを信じて諦めないのも本当に凄いんです。殆どの人が「この動きはサイドショットで撮るのが正解だ」って思ってる中で、「そうじゃない」って思えることって、凄いなって。更に上の正解をハングリー精神で探し続けてる。

 

谷垣:監督のピーター・チャンがね、ドニーのことを「赤子のようだ」って言ってたことがあって。つまり、あれだけ経験があって色んなことやってるのに、「毎回まるで生まれたての赤ちゃんの様な気持ちで現場でものを作ってる」って。経験値があるから、その経験値に乗っ取ればある程度のものは出来るのに。もしオレらが現場でやったら、「こいつ大丈夫か?」ってなって、初日でクビになるようなことを、平気でやるわけですよ。それはドニーだから許されてる部分もあるけれど、“それをやって来たから今のドニーになってる”っていうのもあると思って。

“経験に基づいてやらない”っていうのは、凄いですよ。ある瞬間だけ切り取ったら、アクション監督なったばっかりの素人に見えるかも知れない(苦笑)。

 

下村:でも、ドニーは自信があるんですよね。根拠は無くても自信は常に持ってるんですよね……。

谷垣:バックアッププランは幾らでもあるんだろうね。

「孫文の義士団」の時に、ドニーが「オレは今日香港で誕生パーティーがあるから、絶対終わらせて飛行機乗って帰る!」ってヤル気になったら撮影むっちゃ早かった(笑)。カメラ位置も全部指定してくるし。それこそ経験値があるからこそ出来ることなんでしょうけど。

そこに至るまでが長いんです(笑)。「今日は家に帰ってご飯食べる!」とか決めると、めちゃくちゃ早い(笑)。

 

大内:役者してる時のドニーもそんな時ありますよね!

「ドニー全然衣裳に着替えず座ってますけど、もう夕方ですよ!?」みたいなこと、よくある(笑)。そうすると撮影押すから、翌日全部撮らなきゃいけなくなったりするじゃないですか。そうなったらめちゃくちゃ頑張る、でもギリギリまでは頑張らない(笑)。

夏休みの宿題最後まで溜めて、一気にやるタイプ(笑)!それで全部100点取るからほんま凄いんですよ(笑)。

―――最後に「燃えよデブゴン / TOKYO MISSION」公開に際し、読者の皆さまにひと言お願いします!!

 

谷垣:「香港映画」ってジャンル映画として扱われることが多いじゃないですか、どうしてもね。それが、こうしてTOHOシネマズで拡大公開されるっていうのは、ちょっとビックリですよね(苦笑)。でも、この際多くの方に楽しんで欲しいなって思います!

「正月映画」にピッタリの映画だと思うので、お屠蘇(おとそ)30杯位吞んでから観に来て下さい(笑)!!!

 

全員:(爆笑)!!

 

谷垣健治監督・ドニー・イェン主演・大内貴仁アクション監督

「燃えよデブゴン /  TOKYO MISSION」

全国爆上げ公開中!!!

https://debugon-tokyo.jp/

 

 

 

谷垣健治と大内貴仁が度肝を抜かれた!!「ドニー・イェンのぶっとび言動三選」

谷垣健治編

「空中で三段蹴りができるのに、なぜ五段蹴りができない!?」

「この現場、蚊が多いから帰るわ」

「(翌週筋肉を見せなければならないシーンがあって)体作りが間に合わないから来週は撮りたくない。でもいきなり休んだら仮病だって疑われるから今日から風邪引いて休みにする」

 

大内貴仁編

「TAKA、マグロはどこだ!!」 

「(撮影当日、全スタッフ撮影の準備をしている中)うーん、ロケ地やっぱりここじゃないな」

「(僕がスタントしていて、ドニーがこの川は危険だから水にはつけるな!っていってくれてた数分後)→「ちょっと水につけてみよう!」→「流してみよう!」→「溺れてる芝居しろ!」